小泉の雑記帳

デザイナーになるためのMAC

写真のコンピューターは、私が1989年にうちの事務所として初めて購入したコンピューターであるアップルコンピュータMacintoshIIです。(写真:wikipedia)
当時とは比べものにならないくらい性能は飛躍的に伸びているMACですが、このコンピューターがデザイナーという職業の性質を大きく変えたことはご承知の通りです。

最近はMACを使えないとデザイナーにはなれません。
これは間違いなくなれません。美大やデザイン系の専門学校を出たとか出てないとか以前に、MACを使えないとデザイナーという職業には就けません。

私はよく、最近の学生と話す機会があるたびに「今の方が昔に比べて、デザイナーになるために勉強しないといけないことが多いから大変だね。」といっています。別に学生に説教じみたことをいいたいわけではありませんが、これはこの仕事を30年以上もやってきた私が感じる紛れもない事実です。
私がデザイナーという職に就いた頃は、すべての作業がアナログでしたから、覚える必要があるテクニックといえば、ロットリングや烏口できれいな線を引き、絵の具できれいにべた塗りをすることくらいのものでした。
ですから、それ以外の時間は「デザイン」というものの基本や応用を勉強することができました。
ところが現在は、デザインの応用どころかまず最初に必要な基礎の部分も勉強する時間が足りないほどMACの操作やアプリケーションの使い方を覚えなければなりません。
実際、学校を卒業したての学生は、いくら学校でMACを使っていたといってもまだまだ使いこなせるという域にはほど遠く、入社当初はまず、一人前にMACの操作ができるようになることから始めなくてはなりません。
そして、ようやくMACが使えるようになってから「デザイン」というものを学びだし、それを覚え立てのぎこちないマウスで具現化していくわけですから、世間や上司に納得のいくデザインとして認められるまでには相当の期間が必要になります。
若手のデザイナーでMacの表現力だけに頼った作品をよく見かけますが、それはある意味仕方のないことなのかもしれません。

私たち50代は、ゆっくりとMACが世間に浸透しましたし、MAC自体のパフォーマンスも徐々に上がってきましたので、それに進化に併せてゆっくりと勉強できました。そういう意味では大変恵まれていた世代かもしれません。

それに対し、最近ではデザインの勉強をはじめるのと同時に、驚くほど進化したMACの操作方法を覚えないといけないのです。

ですから、昔なら3年程度で粗方のことはできるようになっていましたが、今では5年でもなかなか難しい時代になっています。一人前のデザイナーになるための期間が昔よりもえらく延びているように思うのは、このことが大きく影響しているように思います。きっと離職率が昔よりも上がっているのにも少なからずこのことが影響しているのではないでしょうか。

2016/12/12